本・映画の紹介

『いとの森の家』東直子著

2016年8月12日

NHKで福岡発地域ドラマとして放映された同名作品の原作。帯に「田舎に引っ越してきた加奈子は、森の中でおハルさんという笑顔の素敵なおばあさんと出会う。深い森がはぐくんだ命の記憶を、少女のまなざしで瑞々しく描いた暖かな物語」とあるように、同窓会で小学生の時1年住んだ福岡県糸島に帰り少女時代を思い返す物語だ。テレビで樹木希林が演じたおハルさんは、福岡拘置所の死刑囚たちを慰問し「死刑囚の母」と呼ばれた白石ハルさんがモデルだという。『異空間の俳句たち』所載の死刑囚の句も効果的に引用されていて、青少年読者が多いであろう作品にきちんと死刑問題への手がかりが埋め込まれていて嬉しい。
〔ポプラ社、1500円+税。2014年10月刊〕

  2016年8月12日 15:38:10  [forum90]

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